読者の声
会計組織の確立について
村上 実
1
1別子病院経理課
pp.49
発行日 1954年1月1日
Published Date 1954/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200759
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いくつかの病院を視て歩いて共通的に感ぜられることは,管理者によつて自らの病院の経営状態が,経理的に把握されていないことである。と言うことは根本的には病院に会計組織が確立されていないこと,管理者に会計組織に対する理解がないこと,会計事務の処理できる事務員が配置されていないこと等に胚胎しているように考えられるのである。このことは今日の社会常識として,将に驚嘆に値する事柄の発見であると言つてもおそらく言い過ぎではあるまい。
ある国立病院で,現在の診療単価でペイしているかとの間に対して,ベイしていると答えた。なお詳細に聞いて行くと,単に歳入と歳出が予算通り実行されたことを以てペイしていると考えていることが分つた。ある市立病院で,年間〇〇〇万円の赤字であると言うのを聞いて調べてみると,税や減価償却は勿論のこと,営繕費も,上級機関の管理費の負担も一切含まないものであるため之等のものを織込んで損益計算を見た場合には,赤字は更に増大すべきものであることが分つた。ある産業病院では,本社の会計課がすべて会計処理をするため,病院長も事務長も,赤字については全然関知しないという,極めて呑気な話であつた。
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