病院精神医療の展開
精神衛生センターと精神病院
保科 泰弘
1
,
鈴木 昭
1
,
山川 かほる
1
1新潟県精神衛生センター
pp.420-424
発行日 1982年5月1日
Published Date 1982/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207737
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■精神衛生センターの誕生,発足の時代的背景
西洋文明の導入,同化,いわゆる文明開化の歩み,迷信の打破,科学的合理主義の台頭,そして健康思想から公衆衛生思想へと発展してきた歴史の中で,その折々の節目に数多くの業績成果が見られてきたが,最近の出来事としては結核対策のみごとな結実が挙げられよう.公衆衛生関係者,保健所,各市町村,それぞれの意欲的な取組みと努力が地域住民の偏見,拒絶の壁を乗り越えて,癆痎時代の絶望自棄の淵から明るい療養への希望と回復への自信を高め,社会的認知を得て巨大な成果の結実を見たのである.
精神衛生関係者はその成果に敬意を表するとともに,巨大なエネルギー(予算,人的資源そして関連機関,相互の連携など)を投入することの大切さを痛感し,次は精神障害者対策,精神衛生活動の出番かと大きな夢を抱いたものである.不運なことに,各地に頻発した公害対策の時機と重なり,結核対策への巨大なエネルギーは,各方面に分散されざるを得なかった.
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