病院管理の工夫 宮川医院の管理に学ぶ・3(最終回)
患者サービスの工夫
宮川 和幸
1
1宮川医院
pp.150-151
発行日 1982年2月1日
Published Date 1982/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207673
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病院建築について
私自身が病気になった時,当然きれいな病院に入りたいと思った.だれでもそう希望するに違いない.ところがそれが可能でないことが多い.その理由は保険の入院料が安いとか経済が許さないとかというお金の問題として説明される.
どうもそうばかりではないような気が日頃からしているが,よく考えてみると病院建築の理念がどこか間違っているように思えてならない.ほとんどの病院へは身がまえて入らなければならない感じである.施主にも設計者にも,病院というのは病人を暖かく迎えて,幸せを作るいれ物なのだという考えがない.病人はそもそも普通の人ではないのだから,人の住む建物として特別の配慮が必要だという思いがない.当節はさすがにデザインは一見モダンになって,外観は素晴しいものが増えつつある.しかしその建築思想の根底に,権威主義ないしは機能主義的なにおいがあって,そこに働く人々にとって能率がよいと思われることが主眼であるように思われ,病人にとって空々しいことが多い.ひがんで言えば病気を治してやるものだから,居住空間のことは我慢しろとでもとられるような権威主義がのぞかれる.
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