特集 新医療費と医療の流れ
新医療費と高機能病院の対応
諸橋 芳夫
1
1旭中央病院
pp.29-32
発行日 1982年1月1日
Published Date 1982/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207644
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昭和48年秋の第一次石油ショックによる狂乱物価,人件費の上昇で,虎の門病院,日赤医療センター,済生会中央病院,聖路加病院等は軒並み大赤字となった.昭和49年2月に医療費改定(実質上げ幅17.5%)はあったものの,これら17大病院(高機能病院)は当時,このままでは更に赤字が増額し,正に危殆に瀕するとして「大病院財政危機問題連絡会」を作り,厚生省に対し医療費改定とともに財政危機の根本的解決を図る対策を要望したことは今なお我々の記憶に生々しいものがある.幸いこの年の10月,2回目の改定(16.0%)があり,病院はようやく生き返った.その後51年4月(8.6%),53年2月(9.3%)に医療費改定が行われて,53・54年度の病院経済は稀にみる好況の決算をみることができた.
従来医療費改定はいつも後追い方式を取り,今年3月の公的一般病院移動年計によると医業収支率は甲表病院では,53年4月より改善された収支比率が55年11月に至って再び100を超え,赤字となり,また厚生省医務局の病院収支調査月報によれば昭和56年3月の一般病院の医業収益100対医業費用の割合を見ると,特に高機能病院と推定される400床以上の病院の医業費用・給与費は高額となり,赤字額も多くなった.
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