小特集 病院臨床実習の実情と問題点
臨床実習受入れのメリットとデメリット—病院の側から
安冨 徹
1
1国立京都病院臨床研究部兼第一外科部
pp.652-653
発行日 1981年8月1日
Published Date 1981/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207526
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標題のテーマをいただいて実のところ大変困惑した.このようなことをあらためて考えてみたことがなかったからである.どんな職業でもそうであろうが,特に医師やナースは企業秘密がないだけに,自分の知っていることや経験を惜しむことなく後輩に相続してもらうのが当然と考えている.したがって取り立てて実習の場を提供することの損得計算はしてみたことがないわけである.しかし考えてみれば,どんな営みにもメリットとデメリットはあるはずである.ただひとくちにメリットと言いデメリットと言っても,それをそのように受け取るのはそれぞれの立場によって異なるのは当然である.ここで求められているのは「病院の側から見た……」とあるから,病院の管理者としての立場から感ずるそれであろうが,同時に現場における指導者としての感じ方も含まなければならないであろう.ひとくちに言って現場の指導者といっても階級の差があることであるから,細かく言えば更にいくらかの違いがあるはずである.
このテーマをいただいて,大げさに言えば愕然とした私はすぐ臨床実習の現場の責任者としての婦長と主任の10数名の人に,この旨を伝えて数枚の感想文を書いてもらった.ここではその感想文のまとめを軸として,私なりの考えをいくらか付け加えて述べることにした.
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