講座 病院経営分析入門・1
病院経営分析の目的と方法
一条 勝夫
1
1自治医大病院管理学
pp.322-323
発行日 1981年4月1日
Published Date 1981/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207441
- 有料閲覧
- 文献概要
経営学の分野に,「経営分析論」という学問がある.20世紀のはじめ,アメリカの銀行で,企業に対し金融を行ううえで,企業の安全性とか信用の度合を測るための調査として発達した.貸付を行っても確実に償還できるか,また担保としてどのくらいの支払能力があるかなどが焦点であり,貸借対照表が主な分析対象であった.流動資産が流動負債の2倍以上でないといけないなどというのは,短期借入金の担保として流動資産の大きさを注視した例である.
こうした分析は,企業の信用度をみるということで信用分析といわれ,銀行とか債権者が重んじたものであるが,その後になって,経営能率の測定評価ということで,内部管理の目的で行われるようになった.分析対象も貸借対照表だけでなく,損益計算書も含め,収益性とか回転率とか,経営活動の成果を動態としてとらえることが試みられた.数値を組合わせて,パーセントとか指数,関係比率といった比率を考え,時間的な動きとか,同種の他企業との比較を行い,また企業としてのぞましい状態を示す標準比率の研究などが行われた.そして,これは経営者や管理者だけでなく,株主をふくめて,企業に利害関係のある人々に対する指針として重視され,発展してきた.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.