医療の周辺 社会学(家族関係論)—老人と家族・5
大都市青壮年の老人扶養意識
奥山 正司
1
1東京都老人総合研究所
pp.240-241
発行日 1981年3月1日
Published Date 1981/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207415
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ここでの課題は,大都市に居住する青壮年が老人の家族扶養(私的扶養)に関して,いかなる意識・態度をもっているかを明らかにすることである.
いうまでもなく,一つの集団としての家族が追求する福祉機能(包括機能)は,国や地方自治体が追求する画一的な給付やサービスとは異なって,家族員のより個別的なニードに対応して提供されることを特徴としている.それゆえ,家族は幼児の育児や老人扶養に限りなく多大な責任を負っているといっていい.しかし,このような特徴があるにもかかわらず,老人扶養の研究に限定してみれば,ここ数年,扶養される老人側の調査は,数多くやられてきているが,その一方で老人を受け入れる側の青壮年の意識や態度については,総理府の調査などを除けば,それほど関心を示してこなかったと言っていい.最近,ようやく,我が国だけでなく,欧米諸国でも,家族福祉という立場から家族機能を見直そうという動きがでてきたのである.それは,老人福祉対策を考慮する上で,老人の扶養意識を明確にしておくことが最小限必要であると言えるからであろう.
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