特集 病院増改築の実例
モニュメント「早蕨」の下で—十和田市立中央病院
末武 保政
1
1十和田市立中央病院
pp.114-117
発行日 1981年2月1日
Published Date 1981/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207376
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昨年の春は,いつになく桜の開花が遅れて,お陰で病院増改築事業の落成式は満開の桜の下で行われることになった.当院は,市の誇りとする雄大な運動公園を前にした官庁街の美しい松並木に面してい,低い段丘の上にある.その正面玄関前に紅白の幕におおわれた2メートルの彫刻が晴れの除幕を待っている.官庁街の桜の木の下におり立ってみると,まぶしいばかりの五月晴であった.
はじめて踏む十和田の地に,私が,院長として着任したのは4年前の昭和51年8月のことである.当時,不幸なことに,当院は累積赤字約3億円を抱え,しかもそんな背景下にあって医局が解体,医師は四散,303床の病院に残っていたのは精神科の医師一人だけ,という極限の状況下にあった.
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