いま民間病院は
生保・結核患者の専門病院経営者の病院運営
伊泊 鉄夫
1
1医療法人仁泉会阪奈病院
pp.543-545
発行日 1980年6月1日
Published Date 1980/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207185
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当院の性格・規模
当院は昭和37年に結核予防法の命令入所となる患者(34条,35条)の入院加療を目的として開設された社会防衛的な役割を持った病院で,なおかつ,生活保護法に基づいて,生活困難な労働者の医療を行い,社会福祉の一端を担っている.病院の性格上どうしても職員の採用には一段と厳しい面があり,一般病院とは比較し得ないハンディーを背負わされているのが実情である.このような病院は公的機関がより中心となって整備されるべきものだが,概して締め出し傾向にあるのはなぜだろうか.一貫して生保,結核患者の治療に専念している病院である関係上,一般病院と性格の異なる医療業務面での法的な事柄が多々ある.まず,それをかいつまんで述べねばなるまい.
入院時にはもちろんのこと,療養中の態度についても,ケースワーカーならびに事務職員による指導を怠ることはできない.雑務においても生活保護及び日用品代の支給とか,細部にわたり手数がかかる.これを指導するに当たって,実務上の細かい面の諸規則に着目する行きかた,法令を通じてその奥に根底的に伏在しているはずの原理的なものを追求する行きかた,あるいは現在一般的にこうだとされているところのものをもっぱら受動的に了解しようとする態度もあれば,それだけに満足しないで原理的なものの追求との関連のもとにそれを批判的に展望したり,そして制度の改善を志向する態度もあり得よう.
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