特集 ニッパチ,その後
労働衛生学上からみた"ハチ"の検討—看護婦の夜勤・交代勤務の改善方向
酒井 一博
1
1(財)労働科学研究所,労働生理・心理学研究部
pp.401-404
発行日 1980年5月1日
Published Date 1980/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207148
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労働条件としての夜勤問題
看護婦の夜勤問題をめぐってこれまでにも様々な議論がなされているが,その検討に当たっては労働条件問題として明確に位置づけたうえで,各職場の現状の問題点を洗い出し,その改善方向を探っていく視点が大切と思われる.
夜勤・交代制についてはその反生理性と,勤務編成によって生じる不規則生活の問題を軸に,疲労,健康,安全,睡眠,家庭生活,余暇,地域・社会生活などの広範囲の影響を介して,有害な労働条件として指摘されることが一般的である1〜3).特に,1978年には日本産業衛生学会交代勤務委員会が独自に行った調査結果と,内外の膨大な研究成果に基づく勧告点を『夜勤・交代制勤務に関する意見書』4)にまとめているが,そのなかで注目される点は,「交代勤務条件の改善の方向」の第1項として,深夜業及び交代制勤務の制限問題に触れ,「経済的理由による交代制導入の禁止」と「生産技術上ないし公共サービス上の理由による交代制導入の許可制」を明確に打ち出していることで,それだけ夜勤・交代制勤務が労働者に及ぼす影響の大きいことを裏書きするものといえよう.
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