視座
手術は慎重でありたい
佐藤 孝三
1
1日本大学医学部整形外科学教室
pp.375
発行日 1968年5月25日
Published Date 1968/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903911
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私の学生時代には「カリエスの流注膿瘍を切開排膿することは死の門をひらくことだ.感染や瘻孔を生じないように充分注意して,穿刺排膿するのがよい」と教えられた.
ところが当時学生実習で出向いたある病院で,大家といわれる外科部長が「胸壁冷膿瘍は膿瘍掻爬で治るのだから,カリエスも同じようにやつてみよう」といつて,腰椎カリエスの腸骨窩膿瘍に切開を加え,膿瘍を掻爬して創を1次的に閉鎖したのをみた.その結果は日ならずして創が哆開し,混合感染をおこして,患者は死亡した.
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