特集 病院給食の新しい動向
病院給食の新しい動向—当面する課題とその対応策
榊田 博
1
1広島文教女子大学
pp.646-649
発行日 1979年8月1日
Published Date 1979/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206928
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病院給食は医療の一環として実施される.すなわち治療食による病態の是正のほかに,喫食者の栄養改善への認識を新たにさせる役割を担っている.したがって,病院給食は栄養学的原則に準拠する一方,規定食への喫食者の適応性を高めるため,任意選択制献立と適温食の供与のもとに,個人別,年齢別,病態別栄養管理システムを確立するのが理想である1).
しかしながら,現実には必ずしも病態の改善に寄与しているとは限らない.むしろ不完全な食事内容のために,かえって栄養障害を助長している憾みがないでもない2).特に我が国では社会保険制度と関連して,基準給食による法的,行政的制約および経済的制約に加え,病院の当面している労務環境の厳しさが大きな隘路となっている.他方,我が国の病院の経営規模が大小さまざまで,これに加えて病院の経営主体を異にするため,経営意図も異なり食材の購入その他の点で病院相互の協力体制をとりにくいなどの事情もあって,病院給食には多くの問題点が横たわっている(図)3).これらの問題点を克服し,技術革新の時代に即した指導原理を明確に示し,病院給食本来の理想を指向しながら,病院給食に新たな対応が迫られている,以下,病院給食を革新するための具体的な対応,特に臨床栄養の合理化に関して当面する課題について展望する.
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