読者の声
T製品の処方ボイコットはなぜ始まったか/受診しやすくする努力を—精神科の場合
吉田 登
1
1豊川市民病院精神神経科
pp.267
発行日 1979年3月1日
Published Date 1979/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206822
- 有料閲覧
- 文献概要
この夏,私たちは一通のアピールをオーレ・ハンソン博士(スウェーデンの小児神経科医で,早くからキノホルムの毒性を指摘し,同国におけるキノホルム剤規制の端緒をもたらした)から受取った.アピールの内容は,スモンの責任を認めようとしない製薬企業に対し,その製品の処方ボイコットを呼びかけるものであった.It is time, therefore, to end theSMON disaster, It is time to makeuse of the logic of the economic lawswhen the logic of common sense andjustness is insulted. It is time for theJapanese doctor to start a boycott.
そこには,一万人を超える空前の犠牲者を出しながら,社会的には何ひとつ意志表示を行おうとしない日本の医師に対するいらだちのようなものすら感ぜられた.ハンソン博士の呼びかけにどのように答えるべきか,スモンに深い関りをもった世代の医師を中心に相談がはじめられたのは9月の半ばであった.私たち自身こそが道義的には被告の立場にあるという意識が決定をためらわせた.しかし,加害者としての罪の意識に沈み込んでこの場を無為に過ごすならば,私たちの道義的責任がなお一層問われるであろうことも確かだった.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.