精神医療の模索・12
外来診療所と病院—精神科診療所は新しい道
佐々木 邦幸
1,2
1船橋神経クリニック
2佐々木病院
pp.1033-1037
発行日 1978年12月1日
Published Date 1978/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206742
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精神科医療の特殊性
精神科以外の診療科では至極当り前のことである「外来診療から入院治療へという一連の治療活動」が,精神科においては最近まで存在しなかった.一般的には存在しえなかった.
精神科治療といえば入院であり,行動制限であり,代行行為であり,入院から退院まで本人をぬきにして事が運ばれるという虚構の世界であったということができる.その歴史があまりに長くあったため,精神科治療とはそういうものだという先入観が広く世間にあって,今日起りつつある急激な内部崩壊に近い変化に対して容易に理解が得られず,むしろ非難めいた当惑や同情のある誤解さえ生じてきている.
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