新・病院建築・11
寿泉堂松南病院開放病棟—共用ゾーンに特色をもたせた治療・生活空間
阿部 忠夫
1
,
河口 豊
2,3
,
宇野 哲生
4
1寿泉堂松南病院
2厚生省病院管理研究所
3前千葉大学工学部
4一級建築士事務所・宇野哲生アトリエ
pp.941-946
発行日 1978年11月1日
Published Date 1978/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206711
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小規模精神病院と開放病棟
当院は,昭和43年8月,須賀川市北部の約2万6千m2の松林に,104床の精神病院として発足した.自然環境を生かし,また災害時の安全を考えて分棟式とし,最終規模250床前後の小じんまりとした,精神病院を目指した.急膨張の時代は過ぎ,質の向上が求められる時期になっていた.
第一期工事(設計:田中西野設計事務所)は,敷地の約半分を使い管理棟・サービス棟・病棟の3棟を建てた.この病棟(2階建,男54・女50)は,機能上は閉鎖管理による治療棟であるが,開放棟に準ずる構造と雰囲気をもつよう工夫した.すなわち,中2階に100名収容の食堂を張り出し,多目的に兼用できる男女共用の場とし,食堂と浴室には窓格子をつけず,出入口の扉と窓の一部は強化ガラスを使い,内装は木部を多くするなど明るさとやわらかさに留意した.
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