ホスピタル・トピックス 地域医療
ホームケアの地域化
K
pp.114
発行日 1978年2月1日
Published Date 1978/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206442
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人口の急速な老齢化,家庭,医療,社会環境の急激な変化に対応して,過去の受身の病院医療から脱却して積極的な地域への医療の展開を求める声は,ますます大きくなりつつある.これに対しての1つの試みが,ホームケアと呼ばれる家庭での医療の実施の試みである.ホームケアの基礎となる考え方は,医療は家庭で提供する,家庭で行われることがもっとも望ましいという考え方である.事実,現在の高度の医療を誇示する病院においても,大部分の患者はできるだけ早く入院生活を終え,家庭に帰ることを希望している.同時に医療関係者は現代の高度の発展した医療関係技術の効果的利用という観点から,適切な医療(Appropriate Care)の考え方を導入する必要がある.つまりホームケアは,包括医療体制の一環としてとらえられ,そのためには病院の果たす機能と関連をもつ有機的なシステムの一環としてとらえられるべきである.しかし,現実に提唱されている訪問看護と呼ばれるサービスは,一つの家族に対する包括的医療の提供という全体プログラムの中での位置づけが必ずしも明確でないものが多く,またその狙いは,包括医療の継続的提供よりは,より安価で,より適切なサービス提供ができないかということに止まっている.
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