今月の本棚
—蜂矢 英彦著—「精神分裂病の治療と社会復帰」
岡上 和雄
1
1国立精神衛生研究所
pp.66
発行日 1978年1月1日
Published Date 1978/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206429
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どこまで手を貸せるか
病像の変遷のなかで
ここ20年来,精神分裂病と呼ばれる病気の様相もずいぶん変った.ひとくちでいえば,軽症化し,健康との間の割れ目が埋まってきた.だが,同じく分裂病と呼ばれながら,その対極には依然として,今の医学を受け付けない人たちもいる.これを戦線にたとえるならば,ちょうど左右にのびきったそれのようで,全体的俯瞰が本当に難しくなった.
一方の極に立つ人は,精神科医療は総合病院で--これは精神医学誕生以来の悲願ともいえるが--というであろうし,他方をみる人は,分裂病の治療こそ精神病院でなければと主張するであろう.それらは,いずれもそれなりの根拠をもつが,ともに他を否定できるほどの妥当性はもっていない.必要なのはさまざまな手だてである.
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