人
僻地医療と農村演劇の実践長野県立阿南病院院長宇治正美氏
若月 俊一
1
1佐久総合病院
pp.16
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206293
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宇治先生が長野県農村医学会に顔を出されるようになったのはもう20年も前になろうか.まだ県立阿南病院の副院長の時代だった.ぼさぼさの長髪,ずばぬけて高い背と前かがみの姿勢.しかしいつも柔和な瞳が笑っていたのが印象的だった.僻地にいての,農村医療のまじめな実践家であるとともに,進歩的な文化人として地域活動に挺身されていることを知り,私たちの友情は急速に深まっていった.
院長になってからは,日本農村医学会の評議員としても活躍されたが,また農村劇をとり入れての看護婦教育なとが,特に彼のユニークな活動として有名になった.昭和40年には日本児童演劇協会賞を受け,現在は日本演劇教育連盟の委員をしている.彼の随筆集「村芝居」には,空襲で千葉医大から彼の生れ故郷である信州に帰り,農村演劇活動を始めるまでのいきさつがよく書かれている.彼の恩師,石川憲夫教授から「劇の方は相変らずやっているだろうな」と駄目をおされるあたり面白い.昨年はまた,看護婦教育に演劇活動を使っての経験を随筆集「涙め引っこめ」にまとめている.
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