病院の窓
診療と医療
島内 武文
1,2
1東北大学
2秋田労災病院
pp.17
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206294
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人間が宇宙に旅立ち,原子の火をもてあそぶ時代になった.われわれの暮しも,どんなにか楽になっただろうと思われるのであるが,いまだに食事は一口ごとにかみくだし,大小便を自ら仕末し,赤ん坊のおしめも大した進歩を示していない.われわれの身体に直接する衣食住のあり方は古代からあまり変わっていないのではなかろうか.このことは人体がまことに個性的で複雑にできていることによるものであろう.
したがって人体を対象とする医療というものも,万人の期待するほどには進歩していない.医療という行為は古来最も人間的,個人的であったし,今日でも医師は患者の千差万別な訴えと症状について1人ごとに判断し,治療を進めねばならない.これこそが医療の最も特徴とするところであるわけである.
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