特集 大学病院の革新
大学病院の看護を考える
大塚 寛子
1,2
1千葉大学
2前東大付属病院分院
pp.44-48
発行日 1976年1月1日
Published Date 1976/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205796
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医療の矛盾が凝集した場で
日本の大学病院の看護部門の抱えている問題は,日本の看護のみならず,医療の抱えている矛盾や問題の縮図だといっても過言ではないと思う.病める人の病気を治すということは大切なことであり,大学病院が人命尊重のためにその先端を行かなければならないタテマエは自明のことであるが,そのプロセスにおいて病める「人」が見失われる傾向がないとはいえない.
大学病院に勤務していると,たえずその特殊性,すなわち医学の教育研究機関であることが力説され,看護部門に対しても全画的な協力が求められる.大学病院に勤める以上は,その社会的責任と使命について否定するものではなく,その達成のために医療チームの一員として支持協力しなければならないが,その場合に大切なことは,看護婦が自分の責任は一義的には患者に対してあるという姿勢を忘れてはならないことである.これは医師の権威を侵害することではなく,専門職を志向する看護婦が当然持っていなければならない自覚であると考えている.
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