特集 経営能率からみた病院
大規模総合病院
黒田 幸男
1
1済生会中央病院
pp.22-27
発行日 1975年12月1日
Published Date 1975/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205769
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はじめに
現在,大規模総合病院ほど経営危機に陥っているところはない.1昨年以来の狂乱物価は,本年度に入り一応平常化したようにみえるが,病院の経営は未だ安定の域に達していない.昭和49年度における大幅ベアの影響は大きく,いずれの病院においても,その存立をかけた試練の年であった.特にその影響を最も激しくうけたのは,人手を多く擁し,高度な機能を持つわれわれのような大規模総合病院であった.
大規模総合病院の経営が他の病院と比べて特に困難になっている理由は,非常に経費のかかる診療体制を維持しているためであるが,この診療体制は,人の面,設備の面,また収容患者の面などあらゆる面において,経営効率が悪くなるようになっているのである.それは,そこで行われている医療の実態に見合うだけの診療報酬額が定められていないのが,最大の原因であることはいうまでもない.これまでに,われわれはあらゆる手段を尽して,この最大の危機を乗り切るための努力を重ねてきたが,現在,そしてこれから先の病院経営のことを考えると,もうどうしようもない極限の状態に追い込まれたという感を持たざるをえない.
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