病院建築・30
朝日新聞西部厚生文化事業団経営 社会保険小倉記念病院
青木 正夫
1
1九州大学・工学部建築科
pp.63-67
発行日 1971年6月1日
Published Date 1971/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204346
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はじめに
55年という長い歴史をもつ病院が,全く新しい地に移築するという珍しいケースである.もともと私立の病院として発足し,戦後,厚生省が買収,これを朝日新聞西部厚生文化事業団に経営を委託し,国有民営というユニークな経営をとっている病院で,その位置は,小倉の目抜きも目抜き,100万都市最大のデパートに隣接する地にあった.公共的交通手段をとる患者には至便な場所ではあったが,騒音,排気ガス,スモッグなど都市公害としてあげられているすべての公害をうけ,そのうえ敷地も狭く,駐車場の不足はもちろん,今後の医療の進歩に対応する施設の拡充も望めないことから,移転が決意された.
ひとくちに病院建築は10年しかもたないといわれるが,新築して10数年を経ると,大改造もしくは増築が必要となるのが一般的である.狭い敷地に建つコの字型のR・C5階建の旧病院を,新築して10数年になる今日,更新する方法として,移築するのが最善の方策であろう.市心の病院の発展方法の1つといえよう.ただ問題は利用国の変化である.地域医療施設として地域に密着していればいるほど影響は大きい.
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