元外科医のつぶやき・13
手術を受ける
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.121
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200688
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手術当日は4時30分に目が覚めた.天井を見ながら,前立腺癌で生まれてはじめて全身麻酔下に腹腔鏡下手術を受けることを自覚した.私の罹患を心配する親友から贈られた,想いのこもった小石を握り,手術が無事終わることを願った.
8時45分に妻に見送られ,手術室に徒歩で入室した.中央に手術台があり,片隅にはシートに覆われたda Vinci®が控えていた.促されるまま手術台に横になって天井を見上げると,外科医時代に見慣れた無影灯があった.外科医としての40年間はあくまでも手術は行う立場であり,自分自身が患者として手術を受けるとは露にも思ってもいなかった.麻酔や手術は安全であると思ってはいても,患者としてはやはり不安が募った.
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