焦点
昭和50年度厚生関係予算を論ず
本誌編集委員会
pp.77
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205529
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2割増にすぎない福祉充実の内幕
先ごろ閣議決定をみた50年度の政府予算案によると,厚生省関係予算は約3兆9千億円とほとんど4兆円に近い額に達し,21兆3千億円弱の一般会計総予算の24.5%,つまり約4分の1を占めるに至った.最近の福祉指向の社会的動向と,「社会的不公平の是正」を1つのスローガンとして登場した三木内閣の最初の予算であるということから,蔵相も述べているように「福祉の充実に重点を置いた」ことの結果といえよう.
ただし,すでに各方面からの指摘もあるように,金額にして1兆円近くも増加した社会保障費の8割程度は,昨年2度行われた医療費の引き上げや,文字通り狂騰の勢いを示す人件費増の影響による自然増であり,実質増と見られるものは残りの2割にすぎない.「2割福祉」という皮肉が聞かれるのも当然である.あるいは「目玉となるものが何もない」という批判もあり,これも厚生省当局自身も認めているとおり事実であろう.
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