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—大段智亮 著—「わたしの助力論—病気のなかの人間関係」
姉崎 正平
1
1病院管理研究所
pp.68
発行日 1974年9月1日
Published Date 1974/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205440
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人間理解への正しいアプローチを教示
著者は,大正15年生まれ,現在48歳である.京都府立医大予科から京都大学に転じ,文学部哲学科および教育学部に学び昭和28年に卒業と略歴に記されている.終戦直後から,主として結核のため10余年間に数回の入院をくり返したというので,著者は20代の初めから30代初めにかけて,その大部分を療養(闘病)生活に費したことになる.上記医大を予科でやめたのも恐らく病気のためであろうし,大学生活も療養の合い間に学校に出るような状態ではなかったかと察せられる.
このような療養(闘病)の体験とその間の読書を素材に,大学において専攻した哲学,教育学の素養を加えて,昭和33年,創元医学新書の1つとして出版した「病気の中の人間--医療の人間学序説」が著者の処女出版であろう.これは現在まで10回版を重ねている.その‘まえがき’で,著者は医学の専門家ではないが,病気の専門家,病人の専門家として,その切実な体験により,現代の医学・医療の批判の上に立って,‘医療の人間学’を構築するのだと記している.その後,著者は,「人間の看護」,「親子関係の人間学」,「面接技術の人間学」,「看護のなかの人間」,「医療のなかの人間」,「死に向かいあう看護(共著)」を著わし,ここに紹介する「わたしの助力論・病気のなかの人間関係」が最新の著作で,著者の今までの活動の1つの‘まとめ’といえよう.
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