特集 火災対策
避難対策
手術中の場合
歌代 一朗
1
,
馬杉 則彦
1
,
小林 寛伊
1
,
久保田 歌子
1
,
都築 正和
1
1東大中央手術部手術医療エンジニア
pp.53-57
発行日 1973年10月1日
Published Date 1973/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205128
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに——最も完全なる火災避難対策に対する考え方
人類が約200万年前に地球上に誕生して,人間社会が形成されて以来,その構成社会の全体的な要求としての安全対策は,時間の経過と共に確実に増加してきているといえるのではないだろうか.そして有史以来,人間は常に次の事柄から一時的にも解放されることがなかったことも事実であろう.すなわち‘現在が今までのうちで一番安全対策の必要な時である’という考え方である.
ということは,たとえば江戸時代に生活していた人は,江戸時代がそれ以前の時代に比べて,安全対策の一番必要な時であると考えたであろう.これは明治時代になっても,大正時代になっても,否,現在でさえも同じである.とくにこの10年間における安全対策の問題が重要性を帯びてきているように感じるのは,だれしもだと思う.その安全対策が公害についてであれ,火災についてであれ,こういった危機感はいつの時代でも同様に存在していたと思うのである.これを端的にいい表わしている言葉が‘昔は良かった’ということばで代表される古老の言ではなかろうか.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.