特集 病院の特殊性と労基法
労基法と女子職員
慶谷 淑夫
1
1東京工業大学工学部・経営工学
pp.27-31
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204958
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●労基法のたてまえ
労基法は,労働者の労働条件の最低基準を定めた法律である.同法は,病院にも適用されるから,病院の使用者としては,同法に定められた労働条件の最低基準を職員に保障していかなければならない.もし同法を使用者が守らないときには,刑事罰が課せられるし,また同法に違反する労働条件を定めた労働契約は,その部分について無効となり,無効となった部分は,同法の労働基準で置き換えられることになっている(同法13条).
よく労基法に定められた労働条件の基準はきつすぎるのではないかということを聞くが,決してそうではない.昭和22年につくられた法律であるから,現時点でみると,むしろ低すぎるといえるのではないだろうか.
病院においては,人命を預かるたいせつな仕事をしているわけであるから,そこに勤めている人びとが満足のいく条件の下で働き,人命保持に全力を注げるようにしていくことが,病院の使用者として社会的義務であるといってよかろう.もし,病院の勤務する人びとに法律どおりの労働条件が与えられていないという事情があるとすれば,その職責を十分に果たさせることができなくなるのではなかろうか.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.