特集 ホスピタル・インダストリー
製薬産業と病院
常松 己一
1
1薬業経済研究所
pp.30-33
発行日 1973年1月1日
Published Date 1973/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204879
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●はじめに
今日の医療体制の中で,病院の占める役割は大きい.しかし全国病院の大半がその経営悪化に悩み,ある段階では危殆に瀕しているともいわれる.その理由には幾多の問題があり,これを軽々しく論ずることはできないが,われわれが第三者的にみるかぎりでは,だいいちに‘医療’というものを経営の主体として考えること自体に無理があり,医療はあくまで医療として先行すべきものであって,病院としての経営はそれに従属すべきだと思うのである.だが,全国に多く数えられる病院は,その組織体は別とし,いずれも独立採算制の下に運営されているものが多く,研究機関を兼ねる大学病院においてさえ,そうだというに至っては,他はおして知るべしというものであろう.
それはともかく,独立採算制の下に運営される病院の大部分が赤字経営に追いつめられているという背景から,いかなる事態が生じているであろうか.端的にいえば,その赤字部分を埋めるためには,遺憾ながら物的節減,わかりやすくいえば医薬品とか医療用具の買いたたきという直接的な方法に訴えざるをえないはめに陥っている.
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