ニュース診断
医療費と医者と製薬資本
久米 茂
1
1深夜通信
pp.65
発行日 1972年2月10日
Published Date 1972/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205033
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医療費があがった。昨年夏の"保険医総辞退"騒ぎの結末がこれだったわけである。われわれ庶民はうっかりカゼもひけなくなった。ホントニ。病気をして医者通いして直っても,その治療費の請求書を受け取ったとたんに,病気がいっぺんにぶり返すかもしれない。しかしそのときはもう医者へはかかれない。さいふの中身が"重体"になっているだろうから……。
とすると日本の医療は今後悲劇と喜劇を同時に生むことは必定。つまり国民の大半は,医者も薬もごまんとあるのに,それを横目でみながらがまんをしなくてはならんということである。痛さに耐えかねて,医(病)院にころげ込むときは,金欠病にかかることを覚悟しなければならない……。
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