特集 薬価と病院経営
薬価は妥当か—製薬会社の利益
梶原 優
1,2
1日本病院会
2医療法人弘仁会板倉病院
pp.239-241
発行日 1995年3月1日
Published Date 1995/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901462
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病院の経営が公私ともに苦しい
私は,ここ数年,国,公,私を問わず,明るく希望に満ちた,そして21世紀の国民医療に誇りと夢をもっている病院経営者や,病院管理者の顔を見たことがありません.皆一様に,現在の病院をどう維持していくかに必死であり,日夜悩んでいるのが現実であります.また理想に燃え,21世紀に対応できる病院を建設した方は,あとに残された負債や,膨大な公的起債,また,運営するためのコストの負担の大きさに,日々苦しんでいるのが現実であります.
平成6年9月26日付け日経新聞に,94年度,厚生省推計によれば,国民医療費総額で25兆7千3百億用,1人当たり20万円を突破,総額の伸び5.9%,「4年連続国民所得を超す」とセンセーショナルに報道されました.しかしながら世界との比較で,国民医療費が国民所得に比して西欧が8%なのに対して,日本は5%であることは書かれていません.新聞紙上では「超高齢化が進行するから,これからも医療費がどんどん膨らんでいくのですよ」と読者に訴えているのです.その裏には,「このままいくと国民の皆様の負担が大きくなりますよ,だから出来るかぎり抑制しなければなりません」と訴えているし,それ以前の10年間は国民所得の伸びより平均して,国民医療費が低く押さえられていたことは書かれていません.
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