特集 院内会議
病院における経営会議
奥田 幸造
1
1公立能登総合病院
pp.26-29
発行日 1972年9月1日
Published Date 1972/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204755
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はじめに
現在社会のあらゆる部門の中で,病院ほど複雑多岐なものはなく,ことに経営面において他の産業経営部門とその性質を大いに異にしている.
院内に働く医療従事者の種別も何十種類と多く,また現在のわが国の医療体系,医療経済情勢では,病院の経営ほど危機に瀕している部門はない.かといって国民の人命尊重の立場から,すなわち国民の文字通り命の綱が病院であるので,1日も,いや1秒もゆるがせにできず,なかんずく地域医療の立場から地域住民の健康を守る唯一の医療機関となっている地方の公立病院のごときは,多くの不採算性をもちながらも病院医療高度化,近代化をはかりつつ地域住民の健康に対するニードにこたえなければならない.いわゆる地方自治体病院は,その経営面において全病院の約60%が赤字を多額に出している現況で,病院の経営会議も‘親方日の丸’式の生やさしいものではなく真剣勝負そのものであり,私自身,私の病院環境においてひしひしと感ずるところで,私がこれから述べる病院の経営会議の話も,かなりそういった現状に立った公立病院を中心とした傾向になることを,はじめにお含みいただきたい.病院といっても,病床規模,病院の経営主体別,立地条件など,さまざまな異なった状況下の病院の経営会議を論ずることは,むずかしいため,一般的に,根本的な問題について普遍的にも述べてみたい.
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