病院史のひとこま
新医療費体系のころ
橋本 寿三男
pp.85
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204662
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議論のための足がかりとして
昭和29年はじめ,そのころ,私はたいへんいやな思いを捨てられずに,厚生省の一隅で,日々を送っていた.あと半年で,なんらかの形で新しい医療費のあり方を国会に提出する必要があり,私は明け暮れ数字にとりつかれていたからである.医務局が主管することになっていたのが運のつき,医務局自体にそれを担当すべき適当な場もなく,諸統計は官房の統計調査部に所管されていて,‘おまえまとめろ’といわれても,一介の課長補佐ではどうにもなるものではなかった.
幸いにして,当時の曽田医務局長,高田浩運次長や今はなき,小沢竜統計調査部長などの理解とお骨折りで,どうやら急ごしらえの調査班ができた.調査は既に2年にわたってそれぞれ集計されつつあったものではあったが,それからどんな答えを出すかが問題であった.もはや,土壇場にきてしまっていたのである.
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