特集 看護の独立を考える
医療チームとしての看護
川北 祐幸
1
1順天堂大学・病院管理研究室
pp.38-41
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204652
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看護の独立を考える
わが国における看護の歴史は多くの本に書かれており,皆がよく知っているところである.そしてこの大きな歴史の流れには2つの変換期があった.
日本の看護も欧米のそれと同じように,宗教にその源を求めるなら,6世期から8世期にかけて聖徳太子や光明皇后の仏教を基盤にした救済事業の施薬院,悲田院などの設立された頃から,職業的・専門的看護が生まれたといえるであろう.しかしこれらの制度は断続的に細々と続きはするが永続きせず,16世期に至り,フランシスコ・ザビエルがキリスト教の宣教師として来日,まもなくルイス・アルメイダが来朝,洋式医学が輸入され,育児院・病院などがつくられてくる時代になり,1555年には洋式の育児院・病院を建てているが,織田信長,豊臣秀吉あるいは徳川幕府のキリスト教に対する政策につれて繁栄と衰退のくり返しを続け,一方庶民の間には今日の看護の仕事に最も近い産婆という職業を専門にする人びとが生まれ,明治期を迎えるわけである.このようにこの間わが国における医療は一貫したものがなく,時の為政者によって左右されてきた.
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