特集 病院のインテリアデザイン
病室のおもなる装備品について—病院のインテリアデザインを担当して
平井 美蔓
1
1株式会社日建設計インテリア部
pp.29-33
発行日 1971年2月1日
Published Date 1971/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204232
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病室は患者の生活の場であり,医師の臨床現場であり,看護婦の作業の場であろう.ベッドに横たわる患者に対して,その周囲の装備品類には,患者自身の普通でない精神状態におかれる病生活を十分に支えるだけの配慮が必要なことは当然であるが,医師の立場からの要請,看護の立場からの要請にも十分対応しうるものでなければなるまい.
患者にとって,身の回りに常備されている生活用具も,他の立場からは,医療器具の性格をもったものとなってくる.病院の設計に関係する1つの立場から,病室の装備品類にどの程度の十分な配慮を与えるかといった問題も,現実には,その必要条件を満たすのみの工費のわくにしばられる実例があまりにも多いのだが,ベッドや枕頭台には,まだまだ研究されねばならぬ問題点が多くある.その問題点にアプローチすることによって,装備品の社会的な水準を高めなければならないと思う.この経済成長のなかで,豪華な装備内容や,医療システムをもった病院の実例も,いくつかを数えることができるようになってきたが,公立病院も含めてみれば,その水準は,他の分野を同質の立場からみるのと比較して,まだまだ低いものであるといわざるをえない状態である.
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