特集 病院のインテリアデザイン
病院のインテリアデザイン—その意義と実態
守屋 秀夫
1
1芦原建築設計研究所
pp.23-27
発行日 1971年2月1日
Published Date 1971/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204231
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インテリアデザインの心理的側面
もう十数年も前のことであるが,確か秋田の病院ではなかったかと思う.病室の窓に障子を入れた設計がちょっとした話題になった.地方に住む患者が,鉄筋コンクリートの病院に入院すると,毎日の生活とあまりにかけ離れた病院の様子にとまどいを感じ,よけいなストレスを負担するであろうから,せめて障子によって病室を身近なものに感ずる雰囲気にしたいというのが,設計者の主張であった.これに対して,ホコリのつきやすい,維持に手間のかかる障子を病室に持ち込むなんてもってのほかだ,という反論がでたのである.
また同じころ,東京の街中に建った病院で,病室が都電の通りに直接面しているものができた.さぞ騒音でうるさかろうと思い,病室を通りに面させないくふうはなかったのかと質問したところ,この病院は地方から入院して来る患者が多く,騒音は患者にとって都会的環境を意識させるものとなり,近代的な施設にはいって治療を受けているのだと強く感ずる結果,かえって好ましい効果となっているという返事が返ってきた.
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