霞ガ関だより
デイ・ホスピタルについて
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pp.118-119
発行日 1970年11月1日
Published Date 1970/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204168
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デイ・ホスピタルの内容とその歴史
‘デイ・ホスピタル’ということばが近年精神科領域で使われるようになってきた.これを直訳すると‘昼間だけの病院’である.今までの入院治療は,1日24時間患者が病院に入院して治療を受けることであり,外来治療とは,患者が在宅のまま,ごく単時間病院に来て薬を処方してもらうなどの,診察や治療を受けることであった.デイ・ホスピタルは,この在来の入院治療と外来治療の中間の概念であり,患者は夜間には自宅にいるが,昼間は朝から夕方まで病院に来て治療を受けることである.今までの考え方からいうと,部分的な入院あるいは濃厚外来診療ということもできる.
このデイ・ホスピタルは,精神医学の分野では画期的な概念であり,今までの精神科医療は入院治療中心であったが,医学の進歩とともに,必ずしも入院治療を行なわないでも,患者が在宅のまま治療を行なうことが可能となったために発達してきた.一般に治療が長期間にわたり,症状が慢性化する傾向のある精神障害者の治療では,ホスピタリズムを予防し,生活指導を行なって社会への適応力を残したままで治療を行なうことが必要である.したがって,入院する必要はないが,社会復帰がまだ十分にできない患者も対象にして,患者が夜間は在宅して家族や地域の人びとといっしょに生活し,昼間は毎日病院へ通って1日6時間近く治療を受けることができる新しい方法としてデイ・ホスピタルが発達してきた.
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