老人医療と福祉の課題
デイ・ホスピタル開設に向けての調査と検討
三宅 貴夫
1
Takao MIYAKE
1
1堀川病院
pp.996-999
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208177
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人口の高齢化,寝たきり老人など障害をもった老人の増加,家族介護力の低下など老人を取り巻く状況は悪化している.このような中で入院,老人ホームへの入所といった施設収容中心のあり方が見直されているが,他方,家族構成員の減少,共稼ぎ,狭い住居など家族の老人介護力が著しく低下しており,家族のみに介護を強いることはいっそう困難になっている.こうして近年,医療機関の訪問看護,市町村の訪問看護指導,老人ホームでの短期入所といった施設と家族を結ぶ中間的サービスの意義が認識され,普及しつつある.しかしその一つとしてある昼間のみ老人を施設にてケアするデイ・ケアについてはその必要性が認められながらも,また老人福祉の一環としての「デイ・サービス事業」が制度化され,老人保健法による医療機関での「デイ・ケア」が点数化されているにもかかわらず,その普及は遅々としている.
京都堀川病院の周辺地域においても地域の高齢化,家族の老人介護力の低下は年々顕著になっている.往診及び10年前にスタートした訪問看護の援助のみでは,在宅老人とその家族のニードに応じられなくなってきた.この度,当病院の増改築の計画に合わせ,医療機関の行うデイ・ケアであるデイ・ホスピタルの開設が検討されることになった.そのため,医師,看護婦,医療事務員など12人のメンバーから成るデイ・ホスピタル検討委員会が設けられ,デイ・ホスピタルの開設に向けての準備が進められている.
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