精神病院の管理・7
リハビリテーション・アフタケア・中間施設・家族会
大原 重雄
1,2
Shigeo Oohara
1,2
1医療法人日立渚会大原精神病院
2茨城県精神衛生審議会
pp.61-64
発行日 1970年7月1日
Published Date 1970/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204015
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はじめに
慢性の身体疾患をもつ患者は,自身の身体的苦痛と観察的判断により社会生活を制限するが,精神障害者は法律や社会規範により社会的自由が拘束される.ここに精神障害者のリハビリテーションの特異性と困難性が発生する起点がある.
古くから精神障害者のリハビリテーションは身体障害者のそれと類似していることが指摘され,医療チームが障害者の入院と同時に,その患者の社会復帰計画を作り,P.P.C.(漸進的患者治療)を実施すべきことが強調されている.しかし,身体障害は運動機能の異常であるのに反して,精神障害は社会的行動の異常であり,外観からだけで判断できないこと,そして患者自身の主観的体験から確実に,その疾患の程度を認識できないことがある.たとえば,神経症でも過度な病感を訴えて,しばしば臨床医を困らせるケースも少なくない.入院する神経症患者に心理過程を解明して指導することすら,きわめて困難なことであり,医療チームの意見が一致しないとき,その不安や強迫症状がすぐに再現したり,さらには入院すること自体が復帰への不安を生ずるために,入院中に完全な治癒を望むことが不可能にちかい.
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