Editorial
リハビリテーション医療への理解と配慮
岩佐 潔
pp.52
発行日 1970年7月1日
Published Date 1970/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204013
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本号の特集テーマを‘一般病院におけるリハビリテーション部門’と名づけることについては,編集会議でいくぶんの異論があった.その第1の理由は,リハビリテーション医学は‘第3の医学’あるいは‘第4の医学’といわれるように,治療の全過程で必要となる一概念であって,病院の1部門のみで担当すべきものではないということであった.アメリカの例をみても,リハビリテーション施設というのはあるが,総合病院では理学療法部門・作業療法部門といった部門がみられるだけで,リハビリテーション部門という名称はあまり聞かないという話もあった.確かにリハビリテーションの概念にたちもどって考えてみると,この説には一理あるように思われる.しかし,ひるがえって病院の中央診療部門のあり方を考えてみると,こうした概念上の論議にとらわれる必要は必ずしもないのであって,もっと実際上の利便で部門分けをし,その名称づけをすることが許される.
戦後,アメリカ的な新しい病院の理念がわが国に輸入されて最初に行なわれた病院の変革運動は,看護部門の独立と検査部門の中央化であった.そして今日では,大部分の病院で中央検査部門の碓立がほぼ成就されたといえるのであるが,しかしよく考えてみれば,診療のあらゆる局面に検査の行為は付随しているのであって,中央検査部門以外での検査の概念が否定しさられているということでは決してない.
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