英国国営医療研究メモ・5
II.国営医療の問題点—A.組織についての再検討(三体分立組織から三位一体組織を求めて)
姉崎 正平
1
1病院管理研究所
pp.82-83
発行日 1970年5月1日
Published Date 1970/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203963
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医療関係団体と政府の間に激しい議論を呼び,終戦直後の労働党政府による一連の国有化政策のなかでも,最も波乱をよんだといわれる国営医療は,1948年7月5日実施された.
財政面では,その支出のほとんどを国庫負担でまかない,英国内においては,英国人にかぎらず,だれでも,拠出や経済能力に関係なく,必要に応じ,無料で一般家庭医,病院専門医そして地方衛生部の予防医学など,それぞれのサービスを受けられることになった.組織面でも,ほとんどすべての医療関係者・医療機関を組み入れた保健・医療サービス網が,保健大臣の管轄下に置かれることとなり,それ以前に比し,包括的となった.しかし,前号の拙稿で記したごとく,関係団体と政府との政治的取り引きの結果として,病院,一般家庭医そして地方衛生部が別々の組織,いわゆる3本立て組織(tripar-tite structure)となり,さらに病院が教育病院と非教育病院と別々に組織され,これらの分裂的組織の欠陥が指摘され,再検討を迫られている.
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