特集号 本誌発刊20周年記念
病院管理・その進歩と問題点
建築設備
病院建築の歩み
伊藤 誠
1
1千葉大学
pp.51-57
発行日 1969年6月1日
Published Date 1969/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203663
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戦後の再出発
この20年間の病院建築の歩みを顧みるとき,まず特筆しなければならないのは,戦後の再出発(1950年)におけるめざましい第一歩であろう.この年に医療機関整備中央審議会による病院建築設計要領が出され,それとともに186床木造総合病院のモデルプラン(図1)がつくられた.これは建築設計小委員会で吉武泰水らが中心になってまとめたものである.戦争による建築技術の空白と当時の経済事情とを反映したこの設計は,木造パビリオンタイプで,今日の目からは何の変哲もない,というよりは,むしろ欠点のいくつも目につくプランであるが,それにもかかわらず,その後の病院建築の方向づけにおいて重要な意義を含んだものであった.そのいくつかを拾ってみると,①看護単位が建築的にはっきりとした形で確立されていること,②1単位の大きさが30床前後におさえられていること,③手術・検査・中央材料などの諸部門が中央化されそれぞれ独立の形態を保っていること,④病棟の1スパンが6mとされ,全体の規模も1床あたり40m2が確保されていること,などをあげることができる.
このうち,たとえば看護単位の問題を戦前の代表的な病院の1つ(図2)と比べてみる.
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