書評
あけぼのを教示する精神科医療「精神科医の役割管理療法」―David H. Clark著・鈴木淳訳
矢谷 令子
1
1九州リハビリテーション大学
pp.12
発行日 1968年8月9日
Published Date 1968/8/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100128
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
“管理療法”とはすでにわが国にも以前に伝わっていた言葉であるといわれているが,耳新しく聞かれる方々も決して少なくないと思われる。管理療法とは「管理的諸技法を用いて精神病院の患者を治療する技術であり,または,治療共同社会のなかで医師の真の役割を達成する技術である」と著者のClark氏はいわれる。
各時代を経て精神科医療はその苦難の足跡を残してきているが,ピネルの改革に次いで,さらに現代化した新しい数々の方法は,各地病院において試みられ,たゆまぬ歩みを続けて現在に至っている。本書はそれらの戦いの真剣なとりくみあいの中に,精神科医療の生み出した貴重な精神力動の原理に基づく,唯一の実際的指導書であると思われる。原著者Clark氏は今年3月に訪日されており,日本の精神医学界の現状をWHO派遣顧問医の立場から視察されておられるし,訳者の鈴木淳先生は原著者にも直接面接されてさらに深い理解をもって訳を完遂されておられる。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.