病院を考える・3
これからの病院
岩佐 潔
1
1病院管理研究所医療管理部
pp.83-86
発行日 1968年10月1日
Published Date 1968/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203478
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成長する病院と老衰する病院
最近,アメリカのピッツバーグで開かれた病院管理と病院建築の会合で,将来の病院の4つの型が展示された(本誌8月号85ページ参照)。1つは,逆ピラミッド型で,人口過密な都市に造られる。地下5階,その上にL字型の支柱を4本建て,それを支えにして数十階の逆ピラミッドを積み上げるといった奇抜なものである。次が,樹木型増殖建築とよばれるもので,四角の高層建築を中心に造り,その周囲にこどもの玩具レゴのように,1単位400床までの組立病棟が自由にいくつでも取り付けられる建築である。第3が,エレベーターなどをいれた鋼鉄またはアルミの円筒型コーアを何本か建て,これにプラスティックのテントをかぶせた病院でコーアをつなぐ病棟を自由に造り,診療室はそれぞれ高気圧に調節できるようにしてある。そして,最後が海底病院で,外部からの騒音など悪影響を防止するのにたいへんよいとされている。いろいろな技術の進歩がこんな病院を造り出す日も,あまり遠くない将来にくるのかもしれない。
しかし,私は建築家ではないので,病院の将来ビジョンとして,こうした種類の新しさをもとめようとは思わないが,一度できてしまうと動きのとれなかった建築自体がメタボリズムのできる増殖可能なもの,ないしは開かれた系を持つものに変わろうとしていることはたいへんに興味深い。このような構想が出てくるのは病院の内容が常に変化し,要求される機能水準が刻々と向上してゆくからであろう。
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