特集 中央検査部
中央検査部における機械化の動向
樫田 良精
1
1東大病院中央検査部兼中央診療部
pp.57-63
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203327
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わが国に中央検査室システムが導入されてからすでに10年以上になり,いまやこのシステムは全国に普及して常識化した。最近の臨床検査法の急速な進歩と,この新しい方法の有用性にもとずく日常診療への活発な導入は,中央検査室の飛躍的な発展を大きく支えている。
中央検査室の発達の当初は,診療の片手間に医師が行なっていた臨床検査を一カ所に集中して,医師以外の技術者がこれを代行し,検査の仕事を多少能率化したにすぎなかったが,中央検査室システムが発達するにつれて,従来医師自らが行なっていた臨床検査とは質的にも量的にも違う専門的な業務にまで発展した。今日の大病院における中央検査部は,もはや単なる医師の仕事の肩がわり的な存在ではなく,診療する医師に科学的な客観的データを随時提供する病院内の重要な近代的施設となった。また,中央検査部が十分に活動している病院では,この部に働く技術者その他の職員数が,院内における専門職種として看護婦に次ぐ多数を占めるにいたった。総合病院における中央検査部の職員数は種々の根拠から,その病院の病床数の10〜15%の人数が必要であると算定されているが,現状ではなかなかこの人数まで充足されず,しかも臨床検査の需要は年々増加の一途をたどっている。
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