病院の広場
結核療養所の変遷と将来
北 錬平
1
1久我山病院
pp.13
発行日 1967年10月1日
Published Date 1967/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203174
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結核療養所というと,わが国では一種独特のニュアンスを感じる。それは,明治,大正以来の伝統であり,当時の結核治療が大気,安静,栄養という,いわゆる三原則を基本にしたものであったからである。しかし,わが国の療養所を特徴づけるものは,そればかりではなかった。入所者が10歳〜20歳台の若年層に多く,しかもきわめて重症のものが多かったという事実は,日本の療養所の特異な点であった。
昭和のはじめの東京市療養所の統計をみると,入所患者の年齢構成は10歳台33.3%,20歳台39.7%,30歳台16.7%となっており,40歳以上はわずか9.4%にすぎない。しかし,昭和40年10月に日本結核療養所協会26施設について調査したところによると,10歳台4.0%,20歳台22.6%,30歳台23.6%で,40歳以上は実に50%を占めるのである。
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