霞ガ関だより
新医療技術開発について
永川 省一
1
1厚生省医務局総務課
pp.88-89
発行日 1967年8月1日
Published Date 1967/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203155
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- 文献概要
最近,とくに進歩発展のめざましい電子工学,精密工学,高分子科学等関連諸科学の成果を医療技術の分野にとり入れ,国民の保健医療の向上をはかろうとする活動が大学研究機関,あるいは関連企業等各方面において急速に展開されつつあることは,世界のすう勢からみて当然のことである。現在,すでに多くの新しい医療機器が,関係技術者の研究と努力によって開発されており,医療の新しい領域がひらかれ,実際の診療に貢献している。この新しい医療技術により,疾病の早期発見,さらに的確な診断と治療が可能となり,病気に対する適切な処置がとられるようになる。とくに,従来ほとんどうつべき手を知らなかった高血圧,がん,心臓病などいわゆる成人病と呼ばれる疾患群に対してこれらの新しい医療機器は有力な武器となりつつある。生体内の微弱な電流をとらえ,あるいは生体内の微細な変化を電流に変え,この電流を増幅して生体内の各部の異常を早期に発見できるエレクトロニクスを応用した医療機器として心電計,脳波計などは広く普及している。また,X線装置にテレビ技術を導入したX線テレビも次第に普及しつつある。さらにエレクトロニクスを救急医療に応用して被害者の血圧,脈波,心電図などの動きを救急医療センターに無線でおくり,患者の状態を知らせ,その指示をあおぐテレメーター方式もすでに実用化の段階に入っている。
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