研究と報告【投稿】
順天堂眼科臨床更生相談の実態
松原 穆子
1
1順天堂医院
pp.73-77
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203070
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まえおき
医療の目的は疾病または傷害に陥った患者を治療し,その心身の健康を恢復させて再び社会に復帰させることにある。ただ疾病または傷害の中には治癒したあとに障害を残すものがあり,その場合は速かに医療から更生へと進路を切り替えて,障害者としての自覚のもとに新たな人生を開拓し得るよう,精神的な援助と具体的な処遇がなされなければならない。
眼科においては障害が失明という深刻な問題に関わるだけに,その事実を告げて障害者としての自覚をもたせるまでには非常な困難が伴う。そのためか従来この方面に手をつける医師あるいは医療機関はきわめて少ないといわれている。視力障害者の多くは失明の事実を知らされないまま,いたずらに医療機関を転々として貴重な時間と金銭を浪費する結果となり,社会に復帰するまでには平均5〜6年を経過するともいわれている。
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