研究と報告【投稿】
寝台用エレベーターについて
伊藤 誠
1
1千葉大学・建築学
pp.69-76
発行日 1966年12月1日
Published Date 1966/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203001
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はじめに
事のよしあしは別として,病院の規模は年々大きくなり,またその建物はしだいに高層化されていく傾向にある。この場合,数多くの歩行困難な患者をかかえている病院にとって,エレベーターが絶対不可欠のものとなってくることはいうまでもない。というより,実際問題として,階を重ねた以上,どうあってもエレベーターなしではすむまい。いいかえれば,今日の病院に働くものすべてにとって,エレベーターはもっとも身近かなもののひとつとなり,かつ仕事の能率にも大きな影響力をもつものとなっている。
ところが,現実には,エレベーターに関する一般の知識は意外に貧弱で,そのため高層化がかえって病院の機能低下をきたしているのではないかと思われる例さえ少なくない。むろん,建築設計にたずさわる側にも責めがある。不当な予算的制約があるとはいえ,エレベーター計画が必ずしも適切ではないような場合も多いのである。エレベーターに関する限り,少々の金惜しみが将来に残す禍恨はきわめて大きいといわなければならない。ここにエレベーターについての概説をこころみ,問題解決への提唱をするゆえんである。
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