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編集主幹ノート
吉田 幸雄
pp.94
発行日 1966年5月1日
Published Date 1966/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202858
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つつじと新緑につつまれ,日本病院学会の近づくのを楽しみながら,本号のあとがきの筆をとってみた。しかし一度筆を下ろそうとすると悪夢のような想念が浮かんできてしまう。千葉大チブス菌事件,産院集団結核感染事件,精神病院患者人権侵害事件等々社会を驚かした最近連続して突発した病院の事件が脳裡の奥底から叫びかけてくる。「お前らの病院管理はそれでよいのか……」「お前らは何をしているのだ……」。ちょうど数年前の病院争議時代と同じである。新聞,ラジオ,テレビや雑誌で……。ちまたでも国会でも……。「病院不信」「医師不信」の声が澎湃として起っている。悪夢ではない現実である。何とかしなければならない。たしかに特発事件ではあるが,病院や医師全体に反省しなければならない問題があることも事実である。そして社会に対し信用を恢復しなければならない。
このようなもどかしさの中で,たまたま本号は「病院採算管理」の特集号である。国民の生命をあずかる重大使命を完遂するために,貧困な財政を見つめながらそろばんもはじかねばならない。日本の病院の苦難の道は絶えない。おたがいに手をにぎり励まし合って着実に前進すべきであるだろう。
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