ホスピタルトピックス 診療
救急医療
佐藤 修
1
1国立東京第一病院
pp.83
発行日 1965年6月1日
Published Date 1965/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202599
- 有料閲覧
- 文献概要
消防法の改正に伴う救急病院等を定める厚生省令が,昨年4月施行された。自動車の急増や産業規模の大型化から,交通事故や産業災害が激増し,そのための外傷者に対する救急医療が十分でないこと,特に交通事故による頭部外傷死のうち,3分の1が手術により救える可能性があるという剖検報告がだされ,これが省令のきっかけとなったものと考えられる。ところがこの省令は患者の側からみた場合,なかなか立派なもののようにみえるが,現場の実情に合わないと医療関係者にはなはだ評判が悪い。
なぜ評判が悪いかというと,省令の第1条第1項,有験医師の常時診療従事,第2項,手術,麻酔,X線,輸血などがいつでもやれる態勢,第4項,救急専用病床の常設などの義務規定の項目が大部分であるためである。至極もっともなことが現場の医療機関にとって難問題なのである,ここにも日本の医療制度の乱脈のしわよせがきている感がある。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.